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良いたよりを500の言語で

良いたよりを500の言語で

良いたよりを500の言語で

ルワンダでの内戦の最中に,一握りの翻訳者たちが家を後にして逃げて行きます。自分の持ち物には見向きもせず,ノートパソコンだけは何とか抱えて,難民キャンプに逃れます。そうするのは,聖書に基づく出版物を,それまでどおりキニャルワンダ語に翻訳し続けるためです。

東南アジアでは,ある若い女性が,疲れや暑さや,翻訳作業の妨げとなるいつもの停電にもめげずに,夜遅くまでコンピューターのキーをたたいています。そうするのは,印刷の締め切りに間に合わせるためです。

これらの人たちは,世界じゅうの190余りの場所で翻訳を行なっている,約2,300人の自発奉仕者の一部です。年齢は20歳からほぼ90歳まで様々ですが,みな労を惜しむことなく働いています。それは,500の言語で聖書の音信を伝えて人々に慰めを与えるためです。―啓示 7:9

様々な言語を話す人々に伝える

近年,エホバの証人の翻訳活動の規模は,かつてないほど拡大してきました。例えば,「ものみの塔」誌は,1985年には23の言語で同時出版されていました。当時としては目覚ましい偉業です。しかし今日では,176の言語で入手でき,どの言語でも同時出版されています。その目的は,世界じゅうの読者が同じ時に同じ情報を研究できるようにすることにあります。

約50の言語について言えば,定期的に出版されている雑誌は,「ものみの塔」誌だけです。なぜなら,営利本位の印刷会社は,ローカルな言語で文書を出版することにほとんど魅力を感じないからです。一方,世界じゅうのエホバの証人は,人々が神の言葉と聖書関係の出版物を,どこであれ必要とされる場所で入手できるようにするため,自分たちの間で資金や労力の均等を図ることに惜しみなく貢献しています。―コリント第二 8:14

人々は,自分自身の言語で伝えられる聖書の音信を高く評価しています。例えば,最近では聖書の出版物が,ニカラグアの約20万人の話すミスキート語でも生産されています。ある女性がミスキート語の「わたしの聖書物語の本」 * を送ってくれるよう依頼しました。それが届いた時,その場に地元の牧師が居合わせました。牧師は,その美しい本を目にして,欲しくなり,コーヒー豆20㌔と引き換えにその本をくれないかと持ちかけましたが,断わられてしまいました。

聖書に基づく出版物は,過去10年にわたって,マヤ語,ナワトル語,ツォツィル語など,メキシコの12余りの先住民の言語にも翻訳されてきました。その結果,メキシコでは10年足らずの間に,エホバの証人の先住民の言語の会衆と手話会衆の数が72から1,200余りに増加しました。エホバの証人は,聖書の音信を人々の心に植え付けるよう努力しますが,真理のその種が芽生えるかどうかは神にゆだねます。―コリント第一 3:5-7

聖書の現代語訳を80の言語で

近年,エホバの証人は「新世界訳聖書」の全巻または一部を80の言語で出版するため懸命に努力してきました。どんな反響があったでしょうか。南アフリカのある証人は,ツワナ語の新世界訳についてこう言いました。「実に素晴らしい道具です。神の言葉に対するわたしの認識はいよいよ深まると思います。分かりやすい言葉が使われているので,楽しく読めます」。モザンビーク出身でツォンガ語を話す読者は,こう書いています。「聖書に基づく出版物が全部そろっていたとしても聖書がないなら,それは,稲妻が走り雷鳴がとどろくのに雨が降らないようなものです。でも,わたしたちの場合,ツォンガ語の『新世界訳』が発表されて,その雨が降ってきました」。

聖書に収められている良いたよりを翻訳して広く伝える人々は,古代のある預言を目覚ましい仕方で成就しています。それは,ほかならぬイエス・キリストのこの預言です。「王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです」。―マタイ 24:14

[脚注]

^ 8節 発行: エホバの証人

[25ページのグラフ]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

「新世界訳」

全巻または一部が入手可能

1950 1*

1970 7*

1990 13*

2000 36*

2010 80*

その他の出版物

1950 88*

1960 125*

1970 165*

1980 190*

1990 200*

2010 500*

*言語の数

[24,25ページの図版]

約2,300人の自発奉仕者が聖書文書を500の言語に翻訳している

ベナン(ベニン)

スロベニア

エチオピア

イギリス