1-2. ヤコブは亡なくなる前まえに何なにをしましたか。どうしてですか。（挿さし絵えも参さん照しょう。）

 年とし老おいたヤコブが家か族ぞくと共ともにカナンからエジプトに来きて，17年ねんほどがたちました。（創そう 47:28）ヤコブは愛あいする息子むすこヨセフと再さい会かいし，家か族ぞくみんなでまた一いっ緒しょに暮くらせるという，とてもうれしい経けい験けんをしました。でも今いま，ヤコブは自じ分ぶんの死しが近ちかいことを感かんじて，家か族ぞくみんなを集あつめて大たい切せつなことを伝つたえます。（創そう 49:28）

² 当とう時じは，家か長ちょうが亡なくなる前まえに家か族ぞくを集あつめて大たい切せつな指し示じを与あたえることが一いっ般ぱん的てきでした。（イザ 38:1）その時ときに，次つぎの家か長ちょうが誰だれになるかを伝つたえることもありました。

3. 創そう世せい記き 49章しょう1，2節せつによると，ヤコブの言こと葉ばが特とく別べつだったといえるのはなぜですか。

³ 創そう世せい記き 49:1，2を読よむ。これはただの家か族ぞくの集あつまりではありませんでした。ヤコブは預よ言げんをしていたからです。エホバの聖せいなる力ちからに導みちびかれて，息子むすこたちと子し孫そんに起おきる重じゅう要ような出で来き事ごとについて話はなしました。それで，この時ときヤコブが語かたった言こと葉ばは臨りん終じゅうの預よ言げんと呼よばれています。

4. どんなことに注ちゅう目もくしながらヤコブの臨りん終じゅうの預よ言げんについて学まなぶとよいですか。（「ヤコブの家か族ぞく」の囲かこみも参さん照しょう。）

⁴ この記き事じでは，ヤコブが4人にんの息子むすこのルベン，シメオン，レビ， ユダにどんなことを言いったかに注ちゅう目もくします。次つぎの記き事じでは，ほかの8人にんの息子むすこに語かたったことを取とり上あげます。ヤコブは，息子むすこたちだけでなく，子し孫そんについても話はなしていました。その子し孫そんはやがて大おおきなイスラエル国こく民みんになりました。イスラエルの歴れき史しを振ふり返かえると，ヤコブの預よ言げんがその通とおりになったことが分わかります。また，ヤコブの預よ言げんを調しらべると，どうすればエホバに愛あいされる人ひとになれるかも学まなべます。

ルベン

5. ルベンは父ちち親おやから何なにをもらえると期き待たいしていたかもしれませんか。

⁵ ヤコブはまずルベンにこう言いいます。「あなたは私わたしの長ちょう男なん」。（創そう 49:3）長ちょう男なんだったルベンは，弟おとうとたちの2倍ばいの財ざい産さんをもらえると期き待たいしていたことでしょう。また，自じ分ぶんが家か長ちょうになって，その立たち場ばを代だい々だい子し孫そんに受うけ継つがせていける，とも考かんがえていたはずです。

6. ルベンが長ちょう男なんの権けん利りを受うけ継つげなかったのはどうしてですか。（創そう世せい記き 49:3，4）

 ⁶ でも，ルベンは長ちょう男なんの権けん利りを受うけ継つぐことができませんでした。（代だい一いち 5:1）どうしてでしょうか。ヤコブのそばめのビルハと性せい関かん係けいを持もったからです。性せい的てきな衝しょう動どうに駆かられたのかもしれません。ほかの理り由ゆうも考かんがえられます。ビルハは，ヤコブの亡なくなった最さい愛あいの妻つまラケルの召めし使つかいでした。（創そう 35:19，22）ルベンはそのビルハと関かん係けいを持もてば，ヤコブはビルハを嫌きらうようになり，自じ分ぶんの母はは親おやのレアを愛あいしてくれる，と思おもったのかもしれません。いずれにしても，ルベンがしたことはエホバにとってもヤコブにとっても，とても悪わるいことでした。（創そう世せい記き 49:3，4を読よむ。）

7. ルベンと子し孫そんはどうなりましたか。（「 ヤコブの臨りん終じゅうの預よ言げん」の囲かこみも参さん照しょう。）

⁷ ヤコブはルベンに「[あなたは]秀ひいでることはない」と言いいました。その言こと葉ばの通とおりになりました。ルベンの子し孫そんが王おうや祭さい司しや預よ言げん者しゃになったとは，聖せい書しょに書かかれていません。とはいえ，ルベンはヤコブから見み限かぎられたわけではありませんでした。子し孫そんはイスラエルの部ぶ族ぞくの1つになり，相そう続ぞく地ちを与あたえられました。（ヨシュ 12:6）ルベンは間ま違ちがいをしたとはいえ，良よいこともしました。また，ルベンが再ふたたび性せい的てきに不ふ道どう徳とくなことをしたという記き録ろくはありません。（創そう 37:20-22; 42:37）

8. ルベンに起おきたことから何なにが学まなべますか。

⁸ 学まなべること。私わたしたちは間ま違ちがった欲よく望ぼうと闘たたかい，性せい的てきに不ふ道どう徳とくなことを一いっ切さい避さける必ひつ要ようがあります。誘ゆう惑わくに負まけそうになったら，エホバや家か族ぞくや周まわりの人ひとをどれほど悲かなしませることになるのか，よく考かんがえましょう。「人ひとは自じ分ぶんがまいているものを必かならず刈かり取とることになります」。（ガラ 6:7）ルベンに起おきたことから，エホバの憐あわれみについても学まなべます。エホバは私わたしたちが何なにか良よくないことをした時とき，そのつらい結けっ果かを味あじわわないで済すむように守まもったりはしません。でも，私わたしたちが正ただしいことをしようと努ど力りょくするなら，エホバは許ゆるして必かならず支ささえてくれます。

シメオンとレビ

9. ヤコブがシメオンとレビに厳きびしいことを言いったのはどうしてですか。（創そう世せい記き 49:5-7）

⁹ 創そう世せい記き 49:5-7を読よむ。次つぎに，ヤコブはシメオンとレビに厳きびしいことを言いいます。話はなしは，娘むすめのディナがシェケムというカナン人じんの男だん性せいにレイプされた時ときにさかのぼります。息子むすこたち全ぜん員いんがそのことに激げき怒どしました。それでシェケムと町まちの人ひとたちに，割かつ礼れいを受うけるなら同どう盟めいを結むすぶといううその約やく束そくをし，みんなそれに同どう意いしました。でもシメオンとレビは腹はらを立たてただけでなく，怒いかりを爆ばく発はつさせ，暴ぼう力りょくに訴うったえました。町まちの人ひとたちがまだ割かつ礼れいの痛いたみに苦くるしんでいる時ときに，2人ふたりは「それぞれ剣つるぎを取とって町まちに入はい」りました。こう書かかれています。「町まちの人ひと々びとは何なんの警けい戒かいもしておらず，2人ふたりは男おとこたちを皆みな殺ごろしにした」。（創そう 34:25-29）

10. ヤコブがシメオンとレビについて語かたった預よ言げんはどのように実じつ現げんしましたか。（「 ヤコブの臨りん終じゅうの預よ言げん」の囲かこみも参さん照しょう。）

¹⁰ ヤコブはシメオンとレビがしたことにとても心こころを痛いため，2人ふたりがイスラエルの各かく地ちに散ちらされる，と予よ告こくしました。この預よ言げんは，200年ねん以い上じょう後のちにイスラエル国こく民みんが約やく束そくの地ちに入はいった時とき に実じつ現げんしました。シメオン族ぞくは，ユダ族ぞくの領りょう地ちに点てん在ざいする土と地ちを相そう続ぞく地ちとしてもらいました。（ヨシュ 19:1）レビ族ぞくにはイスラエル各かく地ちの48の町まちが与あたえられました。（ヨシュ 21:41）

11. シメオン族ぞくとレビ族ぞくはどんな良よいことをしましたか。

¹¹ シメオンの子し孫そんもレビの子し孫そんも，先せん祖ぞたちと同おなじ過あやまちを繰くり返かえしませんでした。レビ族ぞくの人ひとたちはエホバだけを崇すう拝はいし続つづけました。モーセがシナイ山さんでエホバから律りっ法ぽうを与あたえられた時とき，多おおくのイスラエル人じんは子こ牛うし崇すう拝はいに関かかわってしまいました。でも，レビ族ぞくの人ひとたちはモーセと一いっ緒しょに，清きよい崇すう拝はいを守まもるために断だん固ことした行こう動どうを取とりました。（出しゅつ 32:26-29）エホバはレビ族ぞくを選えらび，祭さい司しという特とく別べつな役やく割わりを与あたえました。（出しゅつ 40:12-15。民みん 3:11，12）約やく束そくの地ちを征せい服ふくする時とき，シメオン族ぞくはユダ族ぞくと一いっ緒しょに勇ゆう敢かんに戦たたかい，エホバが望のぞんでいる通とおりに行こう動どうしました。（裁さば 1:3，17）

12. シメオンとレビの例れいからどんなことを学まなべますか。

¹² 学まなべること。怒いかりに任まかせて行こう動どうすることがないようにしましょう。自じ分ぶんや家か族ぞくがひどい扱あつかいを受うけると，怒いかりを感かんじるのは自し然ぜんなことです。（詩し 4:4）でも，腹はら立だち紛まぎれに何なにかを言いったりしたりすることをエホバは喜よろこびません。（ヤコ 1:20）周まわりの人ひとや兄きょう弟だい姉し妹まいから理り不ふ尽じんなことをされても，聖せい書しょが教おしえている通とおり，怒いかりをコントロールすれば，感かん情じょう的てきになって相あい手てを傷きずつけるようなことをしないで済すみます。（ロマ 12:17，19。ペテ一いち 3:9）たとえ親おやがエホバを悲かなしませるようなことをしていても，あなたは正ただしい生いき方かたを選えらべます。どんなに頑がん張ばってもエホバに喜よろこんではもらえない，とは考かんがえないでください。正ただしいことをしようと努ど力りょくするあなたを，エホバは必かならず助たすけてくれます。

ユダ

13. ユダが父ちち親おやの言こと葉ばを聞きく時とき，不ふ安あんに思おもったかもしれないのはどうしてですか。

¹³ 次つぎに，ヤコブはユダに語かたり掛かけます。ユダは兄あにたちが父ちち親おやから言いわれたことを聞きいて，不ふ安あんになったかもしれません。自じ分ぶんも大おおきな間ま違ちがいをした心こころ当あたりがあったからです。例たとえば，シェケムの町まちの略りゃく奪だつに関かかわっていました。（創そう 34:27）兄きょう弟だいたちと一いっ緒しょにヨセフを奴ど隷れいとして売うり，そのことで父ちち親おやにうそをつきました。（創そう 37:31-33）息子むすこの嫁よめのタマルを娼しょう婦ふだと思おもって，関かん係けいを持もったこともありました。（創そう 38:15-18）

14. ユダはどんな良よいことをしましたか。（創そう世せい記き 49:8，9）

¹⁴ でも，ヤコブが聖せいなる力ちからに導みちびかれてユダに語かたったのは，祝しゅく福ふくと褒ほめ言こと葉ばだけでした。（創そう世せい記き 49:8，9を読よむ。）ユダは年とし老おいた父ちちヤコブの気き持もちを深ふかく思おもいやり，末すえっ子このベニヤミンをなんとかして助たすけようとしました。（創そう 44:18，30-34）

15. ユダについての預よ言げんはどのように実じつ現げんしましたか。

¹⁵ ヤコブは，ユダが指し導どう者しゃとして兄きょう弟だいたちを率ひきいると予よ告こくしました。でもそれが実じつ現げんするのは，しばらく先さきのことでした。聖せい書しょの記き録ろくによると，ユダ族ぞくが初はじめて先せん頭とうに立たって行こう動どうしたのは約やく200年ねん後ごのことです。イスラエルがエジプトを出でて約やく束そくの地ちに向むけて荒こう野やを旅たびした時とき，先せん頭とうを進すすんだのはユダ族ぞくでした。（民みん 10:14）さらに数すう十じゅう年ねん後ご，約やく束そくの地ちを征せい服ふくする時とき，先せん陣じんを切きったのもユダ族ぞくでした。（裁さば 1:1，2）また， ユダの子し孫そんのダビデが王おうになり，ユダ族ぞくの王おう統とうは長ながく続つづきました。でも，この預よ言げんにはもっと大たい切せつな意い味みがありました。

16. 創そう世せい記き 49章しょう10節せつの預よ言げんはどのように実じつ現げんしましたか。（「 ヤコブの臨りん終じゅうの預よ言げん」の囲かこみも参さん照しょう。）

¹⁶ ヤコブは，ユダの子し孫そんの1人ひとりが人じん類るいを永えい久きゅうに統とう治ちすることを予よ告こくしました。（創そう世せい記き 49:10と脚きゃく注ちゅうを読よむ。）ヤコブがシロと呼よんでいるその統とう治ち者しゃとは，イエス･キリストのことです。天てん使しはイエスについてこう言いいました。「エホバ神かみは父ちちダビデの王おう座ざを彼かれに与あたえ[る]」。（ルカ 1:32，33）イエスは「ユダ族ぞくの者ものであるライオン」とも呼よばれています。（啓けい 5:5）

17. どのようにエホバに倣ならえますか。

¹⁷ 学まなべること。ユダは大おおきな間ま違ちがいを幾いくつもしましたが，エホバから祝しゅく福ふくされました。ユダの兄きょう弟だいたちは「どうして？」と思おもったかもしれません。でもエホバはユダの良よいところを 見みていました。では，どのようにエホバに倣ならえるでしょうか。仲なか間まの兄きょう弟だい姉し妹まいが特とく別べつな奉ほう仕しをすることになった場ば合あい，その人ひとの短たん所しょに目めが向むき，「どうしてあの人ひとが？」と思おもうかもしれません。でも，エホバはいつも人ひとの良よいところを見みています。私わたしたちも同おなじようにしましょう。

18. 辛しん抱ぼうして待まつことが大たい切せつなのはどうしてですか。

¹⁸ ユダの例れいから，辛しん抱ぼうして待まつことの大たい切せつさも学まなべます。エホバは必かならず約やく束そくを果はたす方かたですが，私わたしたちが望のぞむ方ほう法ほうやタイミングでそうするとは限かぎりません。ユダの子し孫そんからイスラエルを導みちびく王おうが現あらわれるまでには時じ間かんがかかりました。その間かんイスラエルを導みちびいた人ひとの中なかには，レビ族ぞくのモーセ，エフライム族ぞくのヨシュア，ベニヤミン族ぞくのサウル王おうがいました。でも，ユダ族ぞくの人ひとたちはエホバから任にん命めいされた人ひとを支し持じし続つづけました。私わたしたちも，エホバが教おしえ導みちびく役やく割わりを与あたえている人ひとに心こころから協きょう力りょくしましょう。（ヘブ 6:12）

19. ヤコブの臨りん終じゅうの預よ言げんから，エホバについてどんなことが分わかりますか。

¹⁹ ヤコブの臨りん終じゅうの預よ言げんからどんなことを学まなべたでしょうか。「人にん間げんの見み方かたと神かみの見み方かたは違ちがう」ということです。（サム一いち 16:7）エホバはとても辛しん抱ぼう強づよく，快こころよく許ゆるす方かたです。悪わるい行おこないを大おお目めに見みることはありませんが，私わたしたちに完かん璧ぺきを求もとめたりはしません。たとえ私わたしたちが大おおきな間ま違ちがいをしたとしても，心こころから反はん省せいして正ただしいことをしようと努ど力りょくするなら，喜よろこんでくれます。次つぎの記き事じでは，ヤコブがほかの8人にんの息子むすこに語かたった言こと葉ばを考かんがえます。