1. 自し然ぜんな愛あい情じょうに関かんして，どんな状じょう況きょうが見みられますか。

聖せい書しょは，終おわりの時じ代だいには人ひと々びとの間あいだに「自し然ぜんな愛あい情じょう」が見みられなくなる，と予よ告こくしていました。（テモ二に 3:1，3）今いま，まさにその預よ言げんの通とおりになっています。例たとえば，多おおくの家か族ぞくが離り婚こんによってばらばらになっています。父ちち親おやと母はは親おやは互たがいに腹はらを立たて，子こ供どもたちは親おやから愛あいされていないと感かんじます。同おなじ家いえに住すんでいる家か族ぞくでも，まるで他た人にんのようになっていることもあります。家か族ぞく問もん題だいを扱あつかうカウンセラーはこう述のべています。「父ちち親おやと母はは親おやと子こ供どもたちのつながりは，すっかり失うしなわれてしまった。その代かわり，それぞれがコンピュータやタブレットやスマートフォンやゲームとつながるようになっている。こうした家か族ぞくは，同おなじ屋や根ねの下したで暮くらしてはいても，お互たがいのことをほとんど知しらない」。

2-3. （ア）ローマ 12章しょう10節せつからすると，誰だれに対たいして優やさしい愛あい情じょうを示しめすべきですか。（イ）この記き事じではどんな点てんを考かんがえますか。

² 私わたしたちは，愛あいのないこの世せ界かいによって形かたち作づくられたくはありません。（ロマ 12:2）それで，家か族ぞくだけでなく会かい衆しゅうの兄きょう弟だい姉し妹まいに対たいしても，優やさしい愛あい情じょうを深ふかめる必ひつ要ようがあります。（ローマ 12:10を読よむ。）優やさしい愛あい情じょうとは何なんでしょうか。この言こと葉ばは特とくに，親したしい家か族ぞくの中なかに見みられる温あたたかい気き持もちを表あらわしています。会かい衆しゅうの兄きょう弟だい姉し妹まいはエホバへの崇すう拝はいで結むすばれた家か族ぞくなので，互たがいに優やさしい愛あい情じょうを深ふかめるのは大たい切せつなことです。優やさしい愛あい情じょうを示しめすなら，真しんの崇すう拝はいにとって重じゅう要ような一いっ致ちを守まもることができます。（ミカ 2:12）

³ 聖せい書しょに出でてくる例れいを調しらべて，優やさしい愛あい情じょうを深ふかめ，それを示しめすのに役やく立だつ点てんを考かんがえてみましょう。

4. ヤコブ 5章しょう11節せつから，エホバの愛あいについてどんなことが分わかりますか。

⁴ 聖せい書しょには，エホバの素す晴ばらしい性せい格かくについて書かかれています。例たとえば，「神かみは愛あい」とあります。（ヨハ一いち 4:8）それだけでも魅み力りょく的てきですが，聖せい書しょによれば，エホバは「優やさしい愛あい情じょうにあふれ」た方かたでもあります。（ヤコブ 5:11を読よむ。）エホバがどれほど私わたしたちを愛あいしてくださっているかが伝つたわってくるのではないでしょうか。

5. エホバはどのように憐あわれみを示しめしていますか。私わたしたちはどのようにエホバに倣ならえますか。

⁵ ヤコブ 5章しょう11節せつでは，エホバの優やさしい愛あい情じょうがほかの魅み力りょく的てきな性せい格かくと結むすび付つけられています。それは憐あわれみです。（出しゅつ 34:6）例たとえば，エホバは私わたしたちの間ま違ちがいを許ゆるすことによって，憐あわれみを示しめしてくださいます。（詩し 51:1）でも聖せい書しょによると，憐あわれみを示しめすとは，人ひとを許ゆるすことだけではありません。憐あわれみとは，心こころの奥おく深ふかくから湧わき上あがる感かん情じょうのことで，困こまっている人ひとを見みた時ときに助たすけたいと思おもう気き持もちのことです。聖せい書しょによると，私わたしたちを助たすけたいというエホバの願ねがいは，母はは親おやが子こ供どもを思おもう気き持もちよりも強つよいものです。（イザ 49:15）エホバは私わたしたちがつらい状じょう況きょうにあるのを見みると，憐あわれみを感かんじ，私わたしたちを助たすけてくれます。（詩し 37:39。コリ一いち 10:13）私わたしたちは，仲なか間まから嫌いやなことをされても，許ゆるして根ねに持もたないことによって，憐あわれみを示しめすことができます。（エフェ 4:32）でもそれだけでなく，大たい変へんな状じょう況きょうにある仲なか間まの支ささえになることによっても憐あわれみを示しめせます。愛あいの気き持もちから憐あわれみを示しめすなら，優やさしい愛あい情じょうの点てんで最さい高こうの手て本ほんであるエホバに倣ならっていることになります。（エフェ 5:1）

6. ヨナタンとダビデは優やさしい愛あい情じょうをどのように示しめしましたか。

⁶ 不ふ完かん全ぜんな人にん間げんであっても，優やさしい愛あい情じょうを示しめす ことは可か能のうです。聖せい書しょにはそうした人ひとたちのことが書かかれています。ヨナタンとダビデの例れいを考かんがえてみましょう。聖せい書しょにはこうあります。「ヨナタンとダビデは固かたい友ゆう情じょうで結むすばれ，ヨナタンはダビデを自じ分ぶん自じ身しんのように愛あいするようになった」。（サム一いち 18:1）ダビデはサウルの次つぎの王おうになるように選えらばれていました。やがてサウルはダビデをねたんで殺ころそうとするようになりました。ヨナタンはサウルの息子むすこでしたが，ダビデを殺ころそうとする父ちち親おやの計けい画かくには加くわわりませんでした。ヨナタンとダビデはいつまでも友とも達だちでいることと，いつでも助たすけ合あうことを約やく束そくしました。（サム一いち 20:42）

7. どんな点てんを考かんがえると，ヨナタンとダビデの友ゆう情じょうは素す晴ばらしいものだと言いえますか。

⁷ ヨナタンとダビデが示しめした優やさしい愛あい情じょうが特とくに素す晴ばらしいものと言いえるのはなぜでしょうか。2人ふたりには，友とも達だちになるのを難むずかしくするような要よう素そが幾いくつもあったからです。例たとえば，ヨナタンはダビデよりも30歳さいほど年とし上うえでした。ずっと年とし下したで経けい験けんの浅あさいダビデとは話はなしが合あわないと考かんがえても不ふ思し議ぎではありませんでした。しかし，ヨナタンはダビデを下したに見みたりはせず，敬けい意いを示しめしました。

8. ヨナタンがダビデにとって素す晴ばらしい友とも達だちだったのはなぜだと思おもいますか。

⁸ ヨナタンはダビデをねたんでもおかしくありませんでした。サウル王おうの息子むすことして，自じ分ぶんには王おう位いを継つぐ権けん利りがあると主しゅ張ちょうすることもできたからです。（サム一いち 20:31）でも，ヨナタンは謙けん遜そんな人ひとで，エホバを深ふかく愛あいしていました。ですから，次つぎの王おうとしてダビデを選えらんだエホバの決けっ定ていを心こころから支し持じしました。ダビデのことも深ふかく愛あいし，そのせいでサウルが激げき怒どしても，ダビデとの約やく束そくを守まもりました。（サム一いち 20:32-34）

9. ヨナタンはダビデをライバル視ししましたか。

⁹ ヨナタンはダビデに優やさしい愛あい情じょうを抱いだいていたので，ダビデをライバル視ししたりはしませんでした。ヨナタンは弓ゆみを射いるのがとても上じょう手ずで，勇ゆう敢かんな戦せん士しでした。父ちち親おやのサウルと共ともに，「ワシよりも速はやく，ライオンよりも強つよ[い]」人ひととして，よく知しられていました。（サム二に 1:22，23）それで，ヨナタンは自じ分ぶんの戦たたかいぶりについて誇ほこらしげに話はなすこともできたことでしょう。しかし，対たい抗こう心しんを燃もやしたり，ねたんだりはしませんでした。それどころか，ダビデの勇ゆう気きやエホバへの信しん頼らいを褒ほめました。ダビデがゴリアテを打うち倒たおした後あと，ヨナタンはダビデを自じ分ぶんのことのように愛あいするようになったのです。では，私わたしたちはどうすればこうした優やさしい愛あい情じょうを仲なか間まの兄きょう弟だい姉し妹まいに示しめすことができるでしょうか。

10. 「心こころから熱ねつ烈れつに愛あいし合あ[う]」とは，どういう意い味みですか。

¹⁰ 聖せい書しょには，「心こころから熱ねつ烈れつに愛あいし合あってください」とあります。（ペテ一いち 1:22）エホバは模も範はんを示しめしてくださっています。エホバは，私わたしたちを本ほん当とうに深ふかく愛あいしているので，私わたしたちがエホバを心こころから愛あいしているなら，どんなものもその愛あいの絆きずなを壊こわすことはできません。（ロマ 8:38，39）「熱ねつ烈れつに」と訳やくされているギリシャ語ごには，引ひき伸のばす，またはぴんと張はるというイメージが含ふくまれています。確たしかに，仲なか間まの兄きょう弟だい姉し妹まいに優やさしい愛あい情じょうを示しめすには努ど力りょくが求もとめられることもあるかもしれません。誰だれかから嫌いやなことをされた時ときには，次つぎのアドバイスに従したがうことが大たい切せつです。「愛あい を抱いだいて互たがいに寛かん容ようであってください。平へい和わという絆きずなで結むすばれ，聖せいなる力ちからによる一いっ致ちを保たもつよう真しん剣けんに努ど力りょくしてください」。（エフェ 4:1-3）「平へい和わという絆きずな」を保たもつことを意い識しきしているなら，仲なか間まの間ま違ちがいに注ちゅう目もくすることはないでしょう。仲なか間まに対たいしてエホバと同おなじ見み方かたができるようにベストを尽つくしていきましょう。（サム一いち 16:7。詩し 130:3）

11. 優やさしい愛あい情じょうを示しめすのが難むずかしいことがあるのはなぜですか。

¹¹ 仲なか間まの間ま違ちがいが目めに付つく時ときは特とくに，優やさしい愛あい情じょうを示しめすのは難むずかしいものです。1世せい紀きのクリスチャンの間あいだでもそうでした。ユウオデアとスントケの例れいを考かんがえてみましょう。この2人ふたりは，「良よい知しらせを広ひろめるために[パウロ]と肩かたを並ならべて」働はたらく点てんでは，よくやっていたようです。しかし，何なにかの理り由ゆうで，2人ふたりの仲なかはぎくしゃくしていました。それでパウロは，「主しゅと結むすばれた人ひととして，同おなじ思おもいを持もってください」と勧すすめました。（フィリ 4:2，3）

12. 仲なか間まの兄きょう弟だい姉し妹まいへの優やさしい愛あい情じょうを深ふかめるために何なにができますか。

¹² 仲なか間まの兄きょう弟だい姉し妹まいへの優やさしい愛あい情じょうを深ふかめるために，何なにができるでしょうか。仲なか間まのことをもっとよく知しると，相あい手てのことがよく分わかるようになり，優やさしい愛あい情じょうを深ふかめやすくなるでしょう。年ねん齢れいや育そだった環かん境きょうが違ちがっても，友とも達だちになることができます。ヨナタンはダビデより30歳さいほども年とし上うえでしたが，2人ふたりは親しん友ゆうになりました。あなたの会かい衆しゅうの中なかにも，友とも達だちになれそうな年とし上うえの人ひとや年とし下したの人ひとが誰だれかいませんか。そうした人ひとたちと友とも達だちになるなら，「信しん仰こうで結むすばれた兄きょう弟だいたち全ぜん員いんを愛あいし」ていることになります。（ペテ一いち 2:17）

13. 会かい衆しゅうのどの人ひととも同おなじように親したしくならなければなりませんか。なぜですか。

¹³ 仲なか間まに優やさしい愛あい情じょうを示しめすとは，会かい衆しゅうのどの人ひととも同おなじように親したしくならなければならない，ということでしょうか。そうではありません。それは不ふ可か能のうなことです。話はなしが合あう人ひとに引ひかれるのは，必かならずしも悪わるいことではありません。イエス は使し徒とたちみんなを「友とも」と呼よびましたが，ヨハネには特とく別べつな愛あい情じょうを持もっていました。（ヨハ 13:23; 15:15; 20:2）それでもイエスは，ヨハネを特とく別べつ扱あつかいすることはしませんでした。ヨハネと兄きょう弟だいのヤコブから，王おう国こくの目め立だった立たち場ばに就つけてほしいと頼たのまれた時ときには，こう言いいました。「私わたしの右みぎまたは左ひだりに座すわることは，私わたしが決きめることではありません」。（マル 10:35-40）イエスに倣ならって，私わたしたちも親したしい友とも達だちを特とく別べつ扱あつかいしないようにすべきです。（ヤコ 2:3，4）特とく別べつ扱あつかいをするなら，分ぶん裂れつを引ひき起おこしてしまいます。分ぶん裂れつは，クリスチャンの会かい衆しゅうにあってはならないものです。（ユダ 17-19）

14. フィリピ 2章しょう3節せつからすると，対たい抗こう心しんを持もたないようにする上うえで何なにが役やく立だちますか。

¹⁴ 私わたしたちが互たがいに優やさしい愛あい情じょうを示しめすなら，会かい衆しゅうに対たい抗こう心しんが芽め生ばえることはないでしょう。ヨナタンは，ダビデに対たい抗こう心しんを燃もやすことも，王おう位いを奪うばうライバルと見みることもしませんでした。ぜひヨナタンに倣ならいましょう。能のう力りょくがある仲なか間まをライバルと見みてはなりません。「謙けん遜そんになり，自じ分ぶんより他たの人ひとの方ほうが上うえだと考かんがえてください」。（フィリピ 2:3を読よむ。）誰だれもが何なんらかの形かたちで会かい衆しゅうの役やくに立たっているのです。自じ分ぶん自じ身しんに対たいして謙けん遜そんな見み方かたを保たもつなら，兄きょう弟だい姉し妹まいの良よい点てんに目めを向むけ，その立りっ派ぱな手て本ほんから学まなぶことができます。（コリ一いち 12:21-25）

15. ターニャ姉し妹まいの経けい験けんからどんなことを学まなべますか。

¹⁵ 思おもわぬ事じ態たいに直ちょく面めんしても，兄きょう弟だい姉し妹まいが優やさしい愛あい情じょうを示しめし，必ひつ要ような助たすけを与あたえてくれます。エホバはそのようにして私わたしたちを慰なぐさめてくださいます。1つの家か族ぞくの例れいを考かんがえてみましょ う。2019年ねんに米べい国こくで開ひらかれた，「愛あいは決けっして絶たえない！」国こく際さい大たい会かいの2日か目めのプログラムが終おわった後あとのことです。3人にんの子こ供どもがいるターニャ姉し妹まいはこう言いいます。「車くるまでホテルに戻もどる途と中ちゅうでした。1台だいの車くるまが，急きゅうにこっちの車しゃ線せんに入はいってきて，私わたしたちの車くるまにぶつかりました。誰だれもけがはしませんでしたが，私わたしたちは車くるまを降おりて，道どう路ろの脇わきでぼうぜんと立たっていました。その時ときある人ひとが，道どう路ろの脇わきに車くるまを止とめて手てを振ふり，危あぶないからこちらに来くるように，と言いってくれました。大たい会かいから帰かえる途と中ちゅうの兄きょう弟だいでした。止とまってくれたのはその兄きょう弟だいだけではありませんでした。スウェーデンから大たい会かいに来きていた5人にんの兄きょう弟だい姉し妹まいも止とまってくれました。姉し妹まいたちは，娘むすめと私わたしを優やさしくハグしてくれました。本ほん当とうにほっとしました。もう大だい丈じょう夫ぶ，と言いいましたが，みんな行いこうとはしませんでした。救きゅう急きゅう隊たいが来きた後あとも一いっ緒しょにいてくれて，助たすけになれることが何なにかないか聞きいてくれました。本ほん当とうに大たい変へんな出で来き事ごとでしたが，エホバの愛あいを感かんじる場ば面めんが何なん度どもありました。兄きょう弟だい姉し妹まいへの愛あいが強つよまり，エホバへの愛あいと感かん謝しゃが深ふかまりました」。あなたにも，助たすけが必ひつ要ような時ときに仲なか間まから優やさしい愛あい情じょうを示しめしてもらった経けい験けんがきっとあるでしょう。

16. 互たがいに優やさしい愛あい情じょうを示しめすと，どんな良よいことがありますか。

¹⁶ 互たがいに優やさしい愛あい情じょうを示しめすと，どんな良よいことがあるでしょうか。大たい変へんな思おもいをしている兄きょう弟だい姉し妹まいを慰なぐさめることができます。仲なか間まとの一いっ致ちを強つよめることができます。自じ分ぶんがイエスの弟で子しであることを示しめし，誠せい実じつな人ひとたちを正ただしい崇すう拝はいに引ひき寄よせることもできます。そして何なによりも，「温あたたかな憐あわれみの父ちち，あらゆる慰なぐさめの神かみ」であるエホバをたたえることができます。（コリ二に 1:3）では，これからも優やさしい愛あい情じょうを深ふかめ，それを示しめしていきましょう。