1. わたしたちが皆みな，慰なぐさめを必ひつ要ようとしているのはなぜですか。

 慰なぐさめを必ひつ要ようとしない人ひとはいません。人じん生せいには心しん配ぱい事ごとや落らく胆たんや苦くるしみが付つきものだからです。老ろう齢れいや病びょう気きや家か族ぞくの死しのために，つらい思おもいをしている人ひともいます。他たの人ひとからひどい扱あつかいを受うけている人ひともいます。周しゅう囲いの人ひと々びとはますます暴ぼう力りょく的てきになっています。こうした問もん題だいは，わたしたちが「終おわりの日ひ[の]対たい処しょしにくい危き機きの時じ代だい」に生いきている証しょう拠こです。1日にちが過すぎるごとに，新あたらしい世よが近ちかづいているのです。（テモ二に 3:1）とはいえ，わたしたちの多おおくはエホバの約やく束そくの実じつ現げんを長ながい間あいだ待まってきました。対たい処しょしなければならない問もん題だいは増ふえています。どこから慰なぐさめを得えられるでしょうか。

2，3. （イ）ハバククについてどんなことが分わかっていますか。（ロ）ハバクク書しょを学まなぶとよいのはなぜですか。

² 答こたえを見みつけるため，ハバクク書しょを調しらべましょう。聖せい書しょはハバククの人じん生せいや活かつ動どうについて詳くわしく述のべていませんが，この書しょから大おおきな励はげましが得えられます。ハバククという名な前まえには「熱ねつ烈れつな抱ほう擁よう」という意い味みがあるようです。エホバがわたしたちを優やさしく抱ほう擁ようしてくださるという意い味みかもしれません。あるいは，わたしたちがエホバにしっかり付つくという意い味みかもしれません。ハバククは不ふ安あん や疑ぎ問もんを抱いだき，エホバにいろいろな質しつ問もんをしました。エホバは質しつ問もんに答こたえ，そのやり取とりを聖せい書しょに残のこされました。わたしたちが教きょう訓くんを得えられるようにするためです。（ハバ 2:2）

³ 聖せい書しょがハバククについて述のべているのは，この記き述じゅつだけです。ハバクク書しょは「以い前ぜんに書かかれた事こと柄がら」の一いち部ぶであり，「わたしたちが忍にん耐たいと聖せい書しょからの慰なぐさめとによって希き望ぼうを持もつため」に記しるされました。（ロマ 15:4）ハバクク書しょを読よむと，エホバを信しん頼らいするとはどういうことかを学まなべます。また，ハバククの預よ言げんから，様さま々ざまな苦くるしみや問もん題だいを経けい験けんするとしても穏おだやかな心こころを保たもてる，ということが分わかります。では，詳くわしく調しらべてみましょう。

4. ハバククが苦くるしんでいたのはなぜですか。

⁴ ハバクク 1:2，3を読よむ。ハバククは非ひ常じょうに難むずかしい時じ代だいに生せい活かつしていました。邪じゃ悪あくで暴ぼう力りょく的てきな人ひと々びとに囲かこまれ，苦くるしんでいたのです。イスラエル人じんの間あいだでは不ふ公こう正せいや抑よく圧あつが見みられていました。絶ぜつ望ぼう的てきな状じょう況きょうに思おもえました。いつになったら悪あくが終おわるのでしょうか。エホバはなぜ行こう動どうしてくださらないのでしょうか。ハバククは，何なんとかしてくださいとエホバに祈いのりました。エホバはご自じ分ぶんの民たみを気き遣づかっておられない，と考かんがえ始はじめたのかもしれません。すぐに行こう動どうしてくださらないように思おもえたからです。あなたもハバククのように感かんじたことがありますか。

5. ハバクク書しょからどんな大たい切せつな教きょう訓くんを学まなべますか。（冒ぼう頭とうの写しゃ真しんを参さん照しょう。）

⁵ ハバククはエホバへの信しん頼らいや神かみの約やく束そくに対たいする信しん仰こうを失うしなってしまったのでしょうか。そうではありません。人にん間げんではなくエホバに自じ分ぶんの問もん題だいや不ふ安あんを打うち明あけているからです。ハバククは，神かみがいつ行こう動どうしてくださるのか，こんなにつらい状じょう況きょうが続つづいているのはなぜかが分わからず，心こころを乱みだされていました。エホバは，ハバククに自じ分ぶんの不ふ安あんな気き持もちを記しるさせることにより，わたしたちに大たい切せつなことを教おしえておられます。エホバに自じ分ぶんの不ふ安あんや疑ぎ問もんを伝つたえることを恐おそれてはならない，ということです。実じっ際さい，エホバは祈いのりで心こころを注そそぎ出だすよう勧すすめておられます。（詩し 50:15; 62:8）箴しん言げん 3章しょう5節せつもこう述のべています。「心こころをつくしてエホバに依より頼たのめ。自じ分ぶんの理り解かいに頼たよってはならない」。ハバククはこの言こと葉ばのとおりにしました。

6. 祈いのりが大たい切せつなのはなぜですか。

⁶ ハバククは，友ともまた父ちちであるエホバを信しん頼らいし，祈いのりをささげました。自じ分ぶんの理り解かいに頼たよって不ふ安あんを抱かかえたままにするのではなく，エホバに気き持もちを伝つたえたのです。わたしたちの良よい手て本ほんです。祈いのりを聞きかれる方かたエホバは，ご自じ分ぶんを信しん頼らいして不ふ安あんを打うち明あけるよう勧すすめておられます。（詩し 65:2）不ふ安あんを打うち明あければ，エホバは答こたえてくださいます。優やさしく抱ほう擁ようするかのように，必ひつ要ような慰なぐさめや助たすけを与あたえてくださるでしょう。（詩し 73:23，24）どんな問もん題だいを抱かかえていても，エホバの見み方かたを理り解かいできるよう助たすけられます。心こころからの祈いのりは，神かみへの信しん頼らいを表あらわす優すぐれた方ほう法ほうです。

7. ハバククから不ふ安あんな気き持もちを打うち明あけられた時とき，エホバはどうされましたか。

⁷ ハバクク 1:5-7を読よむ。ハバククは不ふ安あん な気き持もちをエホバに伝つたえた後あと，何なんと言いわれるだろうと心しん配ぱいになったかもしれません。不ふ満まんめいたことを言いってしまったからです。でも思おもいやり深ぶかい父ちちエホバは，ハバククを叱しかったりしませんでした。ハバククがひどく苦くるしみ，心こころから助たすけを求もとめていることをご存ぞんじだったからです。それで，間まもなく起おきる事こと柄がらについてハバククに知しらせます。ハバククは，当とう時じの暴ぼう力りょく的てきな人ひと々びとの終おわりが近ちかいことを知しらされた最さい初しょの人ひとと思おもわれます。

8. ハバククがエホバの答こたえに当とう惑わくしたのはなぜですか。

⁸ エホバはハバククに，ご自じ分ぶんが間まもなく行こう動どうを起おこすことを知しらせます。カルデア人じん（バビロニア人じん）によって，ユダの暴ぼう力りょく的てきで邪じゃ悪あくな人ひと々びとを処しょ罰ばつされるのです。エホバは「あなた方がたの日ひ」と述のべて，その処しょ罰ばつがハバククや同どう世せ代だいの人ひと々びとの生しょう涯がい中ちゅうに行おこなわれることを明あきらかにされました。エホバの答こたえはハバククにとって全まったく思おもいがけないものでした。エホバの言こと葉ばからすると，ユダの人ひと々びとはもっと大おおきな苦くるしみを味あじわうことになります。 a 助たすけてほしいとお願ねがいしたのに，これが答こたえなのでしょうか。バビロニア人じんは冷れい酷こく非ひ道どうです。エホバの規き準じゅんを知しっていたユダの人ひと々びとよりも暴ぼう力りょく的てきです。エホバはどうしてこの残ざん忍にんな異い教きょうの国くにを用もちいて，ご自じ分ぶんの民たみに災わざわいをもたらされるのでしょうか。あなたがハバククの立たち場ばにいたら，どう感かんじましたか。

9. ハバククはどんなことを尋たずねましたか。

⁹ ハバクク 1:12-14，17を読よむ。ハバククは，エホバがバビロンによって周しゅう囲いの邪じゃ悪あくな人ひと々びとを処しょ罰ばつするつもりであることを理り解かいします。もやもやした気き持もちは晴はれませんが，謙けん遜そんに，エホバが今いまも自じ分ぶんにとって「岩いわなる方かた」であると述のべます。（申しん 32:4。イザ 26:4）ハバククは神かみの愛あいと親しん切せつを信しん頼らいし続つづけました。それで再ふたたびエホバに次つぎのように尋たずねます。ユダの状じょう況きょうがますます悪あっ化かしているのに，すぐに行こう動どうしてくださらないのはなぜですか。悪あくが広ひろがっているのに，全ぜん能のう者しゃであるあなたが「ただ沈ちん黙もくしておられる」のはなぜですか。「聖せいなる方かた」は「悪あくを見みるには目めがあまりに浄きよ[い]」のではありませんか。

10. わたしたちもどのように感かんじることがありますか。

¹⁰ わたしたちもハバククのように感かんじることがあります。わたしたちもエホバの言こと葉ばを聞きいています。エホバを全まったく信しん頼らいし，聖せい書しょの言こと葉ばを読よんで学まなび，希き望ぼうを得えています。組そ織しきから与あたえられる教おしえを通とおして，神かみの約やく束そくについて聞きいています。それでも，「苦くるしみはいつ終おわるのだろうか」と思おもうことがあるかもしれません。ハバククはどうしたでしょうか。

11. ハバククはエホバの言こと葉ばを聞きいた後のち，どんなことを決けつ意いしましたか。

¹¹ ハバクク 2:1を読よむ。ハバククはエホバと会かい話わし，心こころが落おち着つきます。エホバが行こう動どうしてくださる時ときを待まとうと決けつ意いします。これはその場ば限かぎりの反はん応のうではありませんでした。後のちに同おなじ決けつ意いを言いい表あらわし，「苦く難なんの日ひを……静しずかに待まつ」と述のべているからです。 （ハバ 3:16）神かみに忠ちゅう実じつに仕つかえた他たの人ひとたちも神かみを信しん頼らいし，辛しん抱ぼう強づよさを示しめしました。わたしたちもエホバが行こう動どうしてくださる時ときを待まちたいと思おもいます。（ミカ 7:7。ヤコ 5:7，8）

12. ハバククの決けつ意いから何なにを学まなべますか。

¹² ハバククの決けつ意いから何なにを学まなべますか。第だい1に，どんな試し練れんに遭あっても祈いのることをやめてはなりません。第だい2に，エホバが聖せい書しょや組そ織しきを通とおして語かたりかけてくださることに耳みみを傾かたむける必ひつ要ようがあります。第だい3に，エホバがわたしたちの苦くるしみをふさわしい時ときに和やわらげてくださることを信しんじ，辛しん抱ぼう強づよく待まつべきです。ハバククに倣ならって，エホバに祈いのり，エホバの言こと葉ばをよく聞きき，エホバが行こう動どうしてくださる時ときを待まつなら，心こころが穏おだやかになり，頑がん張ばり続つづけることができます。希き望ぼうがあれば，辛しん抱ぼう強づよくあることができます。難むずかしい問もん題だいにぶつかっても喜よろこびを保たもてます。天てんの父ちちエホバが必かならず行こう動どうしてくださるという確かく信しんも強つよまります。（ロマ 12:12）

13. ハバクク 2章しょう3節せつには，どんな温あたたかな保ほ証しょうの言こと葉ばが記しるされていますか。

¹³ ハバクク 2:3を読よむ。全ぜん能のう者しゃエホバは，ハバククが待まつことを決きめた時とき，うれしく思おもわれたに違ちがいありません。ハバククの大たい変へんな状じょう況きょうをよくご存ぞんじだったので，ハバククを優やさしく慰なぐさめ，間まもなく問もん題だいを解かい決けつすると言いわれます。「辛しん抱ぼうしてわたしを信しん頼らいしなさい。遅おくれているように思おもえるかもしれないが，あなたの祈いのりに必かならず答こたえる」と言いっておられるかのようです。そしてハバククに，ご自じ分ぶんの目もく的てきを定さだめの時ときに実じつ現げんさせることを伝つたえ，その時ときを待まつようにと言いわれます。ハバククの期き待たいが裏うら切ぎられることはありませんでした。

14. 難むずかしい問もん題だいにぶつかっても，どのように行こう動どうすべきですか。

¹⁴ エホバを辛しん抱ぼう強づよく待まち，エホバの言こと葉ばに注ちゅう意いを払はらいましょう。そうすれば，エホバへの信しん頼らいが強つよまり，難むずかしい問もん題だいにぶつかっても穏おだやかな心こころを保たもてます。イエスは，エホバが明あきらかにしておられない「時ときまた時じ期き」を気きにし過すぎないよう勧すすめました。（使し徒と 1:7）エホバはご予よ定ていの時ときに行こう動どうされます。ですから，あきらめないようにしましょう。謙けん遜そんさと信しん仰こうと辛しん抱ぼう強づよさを示しめしてください。時じ間かんを賢かしこく使つかい，ベストを尽つくしてエホバに仕つかえましょう。（マル 13:35-37。ガラ 6:9）

15，16. （イ）ハバクク書しょにはどんな力ちから強づよい約やく束そくが記しるされていますか。（ロ）どうすれば，この約やく束そくの実じつ現げんを見みることができますか。

¹⁵ エホバはこう約やく束そくしておられます。「義ぎなる者ものは自じ分ぶんの忠ちゅう実じつさによって生いきつづける。……地ちはエホバの栄えい光こうを知しることで満みちる」。（ハバ 2:4，14）神かみを辛しん抱ぼう強づよく信しん頼らいする人ひとは永えい遠えんの命いのちを与あたえられるのです。

¹⁶ ハバクク 2章しょう4節せつの約やく束そくはとても重じゅう要ようです。使し徒とパウロは，エホバのこの約やく束そくを3回かい引いん用ようしました。（ロマ 1:17。ガラ 3:11。ヘブ 10:38）どんな困こん難なんに直ちょく面めんしても，エホバへの信しん仰こうと信しん頼らいを保たもつなら，神かみの約やく束そくの実じつ現げんを見みることができます。エホバは将しょう来らいに目めを向むけるよう勧すすめておられます。

17. ハバクク書しょではどんなことが保ほ証しょうされていますか。

¹⁷ 終おわりの日ひに生せい活かつするわたしたちは，ハバクク書しょから力ちからを得えられます。エホバは， ご自じ分ぶんに信しん仰こうと信しん頼らいを示しめす正ただしい人ひとが永えい遠えんに生いきると約やく束そくしておられます。それで，どんな問もん題だいにぶつかっても，神かみへの信しん仰こうと信しん頼らいを強つよめましょう。エホバはハバククを通とおし，わたしたちを支ささえ，救きゅう出しゅつすると保ほ証しょうしておられます。ご自じ分ぶんを信しん頼らいし，神かみの王おう国こくが地ちを支し配はいする定さだめられた時ときを辛しん抱ぼう強づよく待まつよう勧すすめておられます。その時とき，エホバを崇すう拝はいする幸こう福ふくで温おん和わな人ひとだけが生せい活かつするようになるのです。（マタ 5:5。ヘブ 10:36-39）

18. エホバの言こと葉ばはハバククにどんな影えい響きょうを与あたえましたか。

¹⁸ ハバクク 3:16-19を読よむ。エホバの言こと葉ばはハバククに強つよい影えい響きょうを与あたえました。ハバククは，エホバが過か去こにご自じ分ぶんの民たみのために行おこなわれた驚きょう異い的てきな事こと柄がらについて熟じゅっ考こうしました。エホバが間まもなく行こう動どうしてくださるという確かく信しんが強つよまりました。苦くるしみがしばらく続つづくことは分わかっていましたが，とても慰なぐさめられました。いろいろな疑ぎ問もんを抱いだいていましたが，エホバの救すくいの力ちからを確かく信しんし，喜よろこびにあふれるようになりました。18節せつには，聖せい書しょの中なかでもとりわけ印いん象しょう的てきな確かく信しんの言こと葉ばが述のべられています。ある学がく者しゃたちによると，字じ義ぎどおりには次つぎのような意い味みがあります。「わたしは主しゅにあって喜よろこび躍おどります。神かみにあって喜よろこび，ぐるぐる回まわります」。わたしたちも大おおきな励はげみが得えられます。エホバは素す晴ばらしい約やく束そくを与あたえてくださっただけではなく，その約やく束そくを果はたすために行こう動どうしておられます。

19. どうすれば，ハバククが得えたような慰なぐさめを得えられますか。

¹⁹ ハバクク書しょから，エホバを信しん頼らいすることの大たい切せつさを学まなべます。（ハバ 2:4）次つぎの3つの方ほう法ほうでエホバとの関かん係けいを強つよめるなら，エホバへの信しん頼らいを保たもてます。（1）絶たえず祈いのり，エホバに不ふ安あんや心しん配ぱいを打うち明あける。（2）エホバの言こと葉ばや組そ織しきからの指し示じに注ちゅう意いを払はらう。（3）忠ちゅう実じつに辛しん抱ぼう強づよくエホバを待まつ。ハバククはそうしました。ハバクク書しょは悲かなしみで始はじまっていますが，確かく信しんと喜よろこびで終おわっています。ハバククの手て本ほんに倣ならうなら，わたしたちも天てんの父ちちエホバに優やさしく抱ほう擁ようされたように感かんじるはずです。ますます悪あっ化かしていく世よで得えられる最さい高こうの慰なぐさめではないでしょうか。